木村忠正の仕事部屋(ブログ版)

ネットワーク社会論、デジタル人類学・社会学研究者のブログです。

アラブの春はソーシャルメディア革命だったのか

 小職は、拙著(木村忠正(2012)『デジタルネイティブの時代』平凡社新書)序章で、「アラブの春ソーシャルメディア革命だったのか」を論じました。「アラブの春」は、ソーシャルメディアと民主主義との関係について、多様な議論を引き起こしてきています。2010年代後半、民主主義の脆弱化、権威主義の拡張、ソーシャルメディアによる世論操作などがグローバルな課題となるなかで、「アラブの春」をどのように解釈するか、そこから何を読み取るかは、いまだに大きな意味を持ちます。

 拙著は「デジタルネイティブ」に関する書物ですが、序章では、「アラブの春」について、多角的、複合的な分析を展開しており、それは、現在拡大している民主主義、権威主義ソーシャルメディア、世論操作といった議論に資するものが依然としてあると考えております。ただ、書籍全体の主題が「デジタルネイティブ」であるため、「アラブの春」に関する議論は、関心を持ちうる方々への接点が乏しいかと存じます。また、小職の現在取り組んでいる「ネット世論」研究の基盤としても重要であり、序章の第一次草稿版をAcademia.eduにアップロードしました。以下のリンクは、英語表記になっていますが、PDFファイルの中身は日本語です。
 拙著では紙幅の関係から省かざるを得なかった部分や異なる部分も少なからずあります。本稿を読み、関心をもたれた方は、拙著も読んでいただけるとありがたいです。学術論文等で言及される場合には、やはり、拙著を参照いただくようお願いいたします。

 

www.academia.edu