木村忠正の仕事部屋(ブログ版)

ネットワーク社会論、デジタル人類学・社会学研究者のブログです。

「コミュニティ」「ソサエティ」「コネクション」~現代社会の3つの「つながり原理」とSNS(ポッドキャスト版)

拙記事「「コミュニティ」「ソサエティ」「コネクション」~現代社会の3つの「つながり原理」とSNS(LIFT=Line, Instagram, Facebook, Twitter)~」のNotebook LMによるポッドキャスト風音声ファイルを作成してみました(7分程度)。筆者が普段接している大学生の皆さんを念頭に書いた記事で、音声ファイルもそうした意図で作成されています。やはりちょっと読み方がおかしなところもありますが、要点はうまくまとめてくれていると思います。記事とともに、よろしければ、ご高聴ください!

ポッドキャスト風音声ファイル(7分程度)

 


以下が、音声ファイルのトランスクリプトを元に、ChatGPTで読み物としてまとめてもらったものです。

 

なぜ日本ではLINEとX(旧Twitter)が強いのか?SNSの「3つの繋がり原理」で読み解く

SNSは今や私たちの日常に欠かせない存在。でも、ふと考えたことはありませんか?
「なんで日本ではLINEとX(旧Twitterがこんなに強くて、Facebookはあまり流行らないんだろう?」と。

この“ちょっとした謎”に対して、社会学者・木村忠正さんが提起している興味深い視点があります。それが、「3つの繋がりの原理」——コミュニティ・ソサエティ・コネクションです。これは日本のSNS利用のあり方を、社会的つながりのパターンから読み解こうというユニークな枠組みです。

今回はこの視点を使って、私たちのSNSの使い方を見直してみましょう。


1. LINEに見る「コミュニティ原理」:世間をなめらかに保つ

最初の原理はコミュニティ。これは、いわゆる**「世間」「村社会」**的な繋がりです。顔見知り同士が情緒的に結びつき、関係を保ち合うようなもの。

この原理を体現しているのが、まさにLINEです。ダンバー数(人が安定的に維持できる関係の数)にも通じるように、LINEは「小さなグループでこまめに繋がり合う」ことに特化しています。

そして日本独特の「既読スルー問題」や、「とりあえず返信しなきゃ」のプレッシャー。これは、デジタル上のグルーミング(毛繕い)とも言えるような、繋がりのメンテナンス文化とも言えるでしょう。


2. Facebookが伸び悩む理由:「ソサエティ原理」の限界

次に紹介されるのがソサエティ原理。これは近代的な都市のように、個人が匿名性を保ちつつ合理的に関係を築くようなスタイルです。

この原理を代表するSNSFacebook。実名登録やプロフィール公開を前提とした、広いネットワークを築く志向を持つプラットフォームです。

しかし、興味深いことに日本ではFacebookの利用率が3割程度にとどまっている。これは、自己主張や合理的な人間関係を積極的に築こうとする姿勢が、「世間」を重視する日本文化とややズレているからかもしれません。


3. X(旧Twitter)の強さ:「コネクション原理」で自由に繋がる

そして最後がコネクション原理。これはもっと流動的で、趣味や関心で緩やかに繋がる、匿名性を活かした繋がりのあり方です。

これを象徴するのが、X(旧Twitter。日本の利用率は非常に高く、ネット利用者の2人に1人以上が利用しているとも言われています。

世界のツイートの2割近くが日本語というデータもあり、匿名で好きなことを発信し、共通の関心で繋がるという文化が日本の中で広く根付いていることが伺えます。これは、「世間」から自由になりたいという潜在的な欲求の現れかもしれません。


ハイブリッドなInstagram:コミュニティとコネクションの橋渡し

では、近年急激に利用者を伸ばしているInstagramはどうでしょう?

この記事の視点から考えると、Instagramは「ハイブリッド型」。たとえば、鍵付きアカウントでは親しい仲間と“映え”を共有しつつ、「やりすぎない」バランス感覚を大事にする。これはコミュニティ原理に近い。

一方で、公開アカウントでは趣味や自己表現を通じて、知らない人とも緩やかに繋がっていく。これはコネクション原理的な使い方です。

このように、Instagram両者の中間に位置するSNSとして、多くの人に受け入れられていると考えられます。


あなたはどのタイプの繋がり方をしている?

こうして見てみると、日本におけるSNS利用は以下のように整理できます:

SNS 支配的な繋がり原理 主な特徴
LINE コミュニティ原理 情緒的・近しい人との連絡、世間との関係維持
Facebook ソサエティ原理 実名・広域ネットワーク、合理的な自己アピール(日本では苦手意識)
X(旧Twitter コネクション原理 匿名・趣味・関心で緩く繋がる、自由な発信
Instagram ハイブリッド型 世間と趣味の間を行き来、鍵垢と公開垢の使い分け

未来への問い:もっと「ソサエティ的な繋がり」を広げるには?

この記事の筆者は最後に、日本社会でももう少し「ソサエティ的な繋がり」——つまり、開かれた個人としての関係性——を広げていく可能性について提案しています。

SNSの使い方は、私たち自身の繋がり方そのものを映し出しています。
あなたは今、どの原理でSNSを使っていますか?
そして、これからの日本の繋がりはどう変わっていくべきだと思いますか?

ぜひ一度、自分のSNSとの付き合い方を見つめ直してみてください。