*本記事は、立教大学社会学部に関心を持つ方々、大学で社会科学的観点からデータサイエンスを学びたい受験生を念頭に置いたものです。また、所属組織とは独立した、SDSコースに対する筆者個人の見解も述べております。SDSコースが現在準備中のため、内容が変更になる場合があることも含め、予め、ご承知おきください。
立教大学社会学部では、2025年度から、SDS(ソーシャルデータサイエンス)コースを開設することとなりました。「学部案内2025」(デジタルパンフレットへのリンクはこちら;立教の各学部案内のページはこちら)で告知され、SDSコース概要紹介ページ
も公開されました。
筆者は、SDSコース準備責任者として、現在、2025年度からの始動に向けて、関係する皆さまと協力しながら、準備を進めております。たまたま広報委員長も務めていることから、学部案内、ウェブページ紹介も、筆者が草案を準備したものです。
SDSコース概要紹介ページにも書きましたが、立教大学社会学部・社会学研究科は、数理社会学、計量社会学、計算社会科学、ソーシャルデータ分析、デジタル人類学などを専門とする教員を擁しており、ソーシャルデータサイエンスの進展に対応した研究展開、授業実践を積み重ねてきています。
筆者は、文化人類学が知的出自ですが、インターネット・サイバースペースをフィールドとしたことから、デジタルデータにどのようにアプローチするかに長年取り組んでおり、2018年には、拙著『ハイブリッド・エスノグラフィー』(新曜社)において、量的/質的という二分法に囚われない研究法の必要性を議論しました。拙著以降、ディープラーニング(深層学習)、大規模言語モデル(ChatGPTなどのLLM)など人工知能分野の革新は目覚ましく、データサイエンスは、研究方法として重要であるだけでなく、ヒト・社会自体を根底から変革する可能性を持つ研究対象と捉える必要も高まっています。
つまり、データサイエンスの発展は、法制度、産業経済、社会文化、それぞれに対応・適応すべき可能性と課題を生み出し、変革するとともに、ヒト・生命のメカニズムを解き明かしながら、ヒト・生命という概念を根底から再考することまで私たちに余儀なくさせるだけの力・重要性を持つに至っていると、筆者は考えております。
したがって、社会科学の観点から、データサイエンスの基礎を学びながら、その方法を積極的に社会的課題、ヒト・社会の分析に活かす知識とスキルを身に着け、データサイエンスが持つ強力な力を理解して、ヒト・社会にとってプラスとなる面を引き出し、発展させる(マイナスとなる面を把握、制御する)ことのできる人材が、これからの日本社会、グローバル社会で不可欠であると筆者は認識し、SDSコースの準備に取り組んでいるところです。
SDSコースは、入試で選抜するのではなく、入学後、1年次の春学期に選抜する形をとります。また、データサイエンスの実習は、少人数で個々に対応する必要があり、コース定員は1学年20名を予定しています。ですが、上述のように、SDSは、文系学生にとっても、21世紀の教養と筆者は考えており、SDSコース設置に伴い、より多くの社会学部生がソーシャルデータサイエンスに接する機会を提供するため、SDS系講義科目、演習科目も設置するよう計画しています。これらの科目を履修することで、情報処理推進機構ITパスポート試験、データサイエンティスト協会データサイエンス検定リテラシーレベル、日本ディープラーニング協会G(ジェネラリスト)検定などに対応した知識、スキルの基礎も修得してもらえるようにする見込みです。
これから、準備が進捗するに伴い、このブログでも、情報提供をしたいと思っています。私たちのこれからを積極的に考え、行動したい学生を一人でも多く輩出することができればと考えていますので、立教大学社会学部SDSコースに関心を持っていただければ幸いです(お知り合いに、関心を持ちそうな方がいらっしゃれば、ご案内をよろしくお願いいたします)。
拙文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。